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自分がだんだん父親化していく件

青筋たててた少年期は父親なんて大嫌いだった。

グレたり、敵愾心むき出しにして言い争ったりしなかったけど、心のなかでバカにしていた。特に文化的な面ではかなり下に見ていたと思う。こいつはダセえと。

銃弾と爆破シーンが大半のような金だけかけた馬鹿げたハリウッド映画を見てゲラゲラ笑い、地味な三段ボックスを積み上げたような本棚に並ぶ小説はパトリシア・コーンウェルトム・クランシーみたいなエンターテイメント性しかないような小説ばかりで、持っていたレコードプレイヤーやピカピカのアンプはカッコ良かったが、車の中ではCHAGE and ASKAを聞いていた。

大衆向けオヤジだ。ぶかぶかのポロラルフローレンの半袖シャツを着てやがる。

ところがオレはどうだ。いとうせいこう「ワールズ・エンド・ガーデン」を読みながらタバコをふかし、ローリン・ヒルグリーン・デイを聞きながらスケボーに乗っている。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブブエノスアイレスこそが映画だ。ミリオンダラー・ホテルも良かった。いや、エンド・オブ・バイオレンスこそ至高だろう。エゴン・シーレを見に美術館に行った。アパレルの学校に通いながらカフェ・バーでバーテンダーのバイトをしていた。

あんなおっさんにはなりたくないと思っていた。

 

マッドマックスは良かった。最高だった。あれこそ映画だ。

爆破、爆音、銃弾、女、鮮血、拳、車、正義と悪、全てが最高だった。

Kindleの中は横山秀夫の本で埋め尽くされている。バイオレンスだ。ハードボイルドだ。男の警察小説だ。

鼻歌を歌っていると、妻に何の曲?と聞かれた。CHAGE and ASKAのRED HILLだった。TM NetworkのSelf Controlだった。

UNIQLOを装備している。スーピマコットンのクルーネックTは最高だ。コンバースを履いている。真っ白なスタンスミスだ。カート・コバーンにでもなったつもりか。

熱に浮かされたように戦争ゲームをやっている。何万円もするヘッドフォンをつけてプレイし、夜泣きする子供に気づかずに妻にこっぴどく怒られた。

 

おれはあいつだった。

一緒だった。ゆるやかに、だがあっというまにあいつになってしまった。

きっといつか子どもたちにバカにされるのだろう。

あんな風にはなりたくないと思われるのだろう。

だが、それも悪くない気がしている。